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「ベトナムのチョウ」 体験記
 
■ 報告者: 湊 ちせ さん(甲府市立穴切小学校教諭)
□ 調査日: 2003年8月14日-22日
チョウは環境の豊かさをあらわす指標生物である。ベトナムのタムダオ国立公園には、300種類以上のチョウが棲んでいる。多様性に富む、目立ちやすい、ライフスタイルが短い、餌となる特定の植物を必要とするなどのことから、チョウは生態系の健全さをのぞく重要な窓となり得る。あらかじめ決められたトランセクトに沿ってチョウの種類と数を調査していった。6日間の調査で57種類、523匹のチョウを確認した。調査は単純な作業であるが、こういう地道な活動が環境保全につながっていくのだということを改めて感じた。

小学校の総合学習では環境・福祉・国際理解・地域を知るの4つのことを柱としている。そのうちの環境・福祉・国際理解の3点の視点から総合の時間に現在担任している4年生に対して、学年2クラスの子供たちに、スライドを見せながら発表した。

環境については、調査の目的、調査方法を説明しながら、調査中のスライドやチョウのスライドを見せていった。
福祉の視点とはボランティア活動についてアースウォッチの活動を子供たちに説明した。総合の時間で一学期は国際理解という点で、子供たちがそれぞれ興味ある国についての調べ学習をした。二学期は生活・文化など視点を変えて学習していく予定である。その中には国により棲む動物の違いや動物の研究に興味を持って、学習を進めていく児童もでてくると予想している。そういう面でもアースウォッチの活動は子供たちの興味をひくものだと思う。また将来、自分で働いて分担金(参加費)を出せば、誰もが参加できる活動であることも説明した。将来このクラスの中から活動に参加する子供が出てくるかもしれない。
国際理解の視点では、スライドを交えながらベトナムの経済・食事や生活について・出会った人たちについて・街や村の様子を話した。私自身初めての経験で、驚くことも多かった。私はベトナムを知ることで日本という国のことを改めて知るという経験をしたが、子供たちにもそれは伝わったと思う。

子供たちはこの時間をとても楽しみにしてくれていた。私の話も集中して聞いていた。授業後に書いた子供たちの感想を以下に紹介する。

「先生からベトナムの話を聞いてすごい種類だなと思ったことがありました。それはチョウチョです。300種類ものチョウチョがいて、先生が見たチョウの種類は57と聞いてびっくりしました。それとベトナムでは10円でも価値があると聞いてびっくりしました。ベトナムの単価はドンです。2,000ドンはゼロを2つ取って20円ぐらいと聞きました。先生からベトナムのことをいろいろ教えてもらってわかったことは、チョウがいっぱいいる自然の豊なところだなあということです。そして豊な自然を守っているベトナムの人がいるということがわかりました。」(増倉優花)

「わたしは、先生の話を聞いて驚いたことがたくさんあります。まず一番驚いたのは、車が高級品とか、バイクのタクシーもあり、携帯電話も高級品、デジタルカメラはデパートのガラスのケースに入っていて、そんな日本ではありえないことでした。次にチョウ調べのことです。タムダオ公園に300種類のチョウがいて、自然があふれていることです。最後に怖いヒルのことです。おばあちゃんが前にさされたそうですが、私は怖くてたまりませんでした。私も先生みたいにベトナムへ行ってみたいです。」(中嶋咲)

「ぼくは先生がベトナムへ行ってきたことのスライドを見ました。ぼくはスライドを見て、ベトナムのチョウはとっても元気に、きれいに、美しく飛んでいると思いました。だいたい甲府のあたご山の2倍くらいがタムダオ公園なのかなあと思っています。ぼくは暑い方がチョウが棲みやすいのだなとも考えました。行ってみたいなと思いました。あと、ぼくはヒルは赤いのかと思っていました。ぼくもヒルにさされたことがありましたが、とっても痛くて泣きそうになっていました。いまでは気を付けています。あと、フエウリの人のことが心に残りました。クリスさんがアメリカのフエをあげて、フエウリの子がとっても喜んだというところが心に残りました。」(小林賢太)

タムダオ公園に300種類のチョウがいるのはすごいと思いました。山梨には何匹チョウがいるのかなと思いました。山梨は工場とかがいっぱいあるから100種類もいないと思います。今度、山梨にはチョウが何匹いるか調べたいです。そしてチョウや動物を増やすために工夫したいです。」(古屋花暖)

今回のプロジェクト参加に当たりその後のことも授業に使っていきたいと考えている。スタッフにリンさんの弟のスベットさんがいたが、彼はベトナムの小学校の英語の先生である。彼とは日本とベトナムの小学校の様子を話したり、それぞれの学校で謳っている歌を教えあったりしたが、日本の子供とベトナムの子供との手紙の交換ができると考えている(パソコンはベトナムでは一般化していないのでメール交換はできない)。本で得る知識だけでなく実際に手紙交換で得るものは感動を伴うので、何にも変えがたいものだと思う。

学校全体の子供たちに対しては教頭先生からの提案もあったので壁新聞で写真を入れて定期的に提示していく予定だ。先生たちには子供への発表のためのスライドを用意している時点で興味を持ってくれた先生たちが何人かいた。研究主任の先生から校内研で発表したらという提案があったので、そのようにする予定だ。
ベトナムという国の少しを垣間見て、日本という国を感じた。普段何気なく使っている水や紙や電気やものに対して、当たり前のように何の感謝の気持ちも持たずに暮らしていた自分に、そうではないんだということを気づかせてくれた。ベトナムでは日本の製品が非常に重宝がられていた。
どの国も環境を守るために根気よく、小さな積み重ねの活動を続けている人たちがいる。自然が好きで、自然を愛する人がいる。私の場合はむしろベトナムという国を少し垣間見ることができ、様々な国の人たちと交流できたことに大きな関心が持てて、それは確実に子供たちにも伝わったことと思う。

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