海洋保全

気仙沼・舞根湾に蘇る生き物たちに学ぶモニタリング調査

震災後の舞根湾で、森・川・干潟・湿地、そして海の機能をモニタリングし、自然がどこに向かうのかを中長期的に調べていきます。 一緒に干潟・湿地の重要性を見つめ、原形復旧にとらわれない新たな国土保全・利用のあり方を考えていきましょう。
Supported by: 新日本有限責任監査法人


気仙沼・舞根湾に蘇る生き物たちに学ぶモニタリング調査

調査地である宮城県気仙沼市唐桑町舞根湾は、気仙沼湾の中の支湾で、全くと言っていいほど波が立たない穏やかな海域です。ここでは古くから牡蠣・ホタテガイの養殖が行われ、また、その豊かな海を守るために「森は海の恋人」のキャッチフレーズのもとに流域での植樹活動が行われてきました。

2011年3月の東日本大震災では、住宅地が津波で破壊されただけでなく、地殻変動の影響で地盤が80cmも沈下しました。その結果、湾奥部の宅地や農地に海水が浸入し、干潟・湿地的な環境になりました。

通常、震災復興といえば「原形復旧」からスタートしますが、実は湾奥の宅地や農地は1950年代まで干潟・湿地だったのです。1960年代に土地開発のために湾奥は締め切られて埋め立てられましたが、その場所が期せずして海に戻ったことが判明しました。そこには、いち早くアサリの稚貝が大発生し、今では絶滅危惧種に指定されたニホンウナギも現れています。

ですから、そのままの環境を活かすことも、ある意味「原形復旧」と言えるのではないでしょうか。水際の汽水域は生き物の“ゆりかご”です。仔稚魚の成育場であり、上位生物の餌場となります。また、干潟・湿地には水質浄化の機能もあります。よみがえった干潟・湿地を活かすことができれば、今まで以上に海が豊かになり、その恵みを享受できることでしょう。

この発見は、舞根地区の住民に大きな感銘を与え、津波を恨まず、再び海と共に生きて行く気持ちを蘇らせました。その結果、住民は気仙沼市に「防潮堤に頼らず海を見ながら暮らす」要望書を提出し、気仙沼市長も防潮堤を造らないという決断をしました。しかし、沈下した土地自体は、原形復旧の原則により再び埋め立てられつつあります。

舞根研究グループは、森の機能、川の機能、干潟・湿地の機能、海の機能をそれぞれ震災直後からモニタリングし、自然がどこに向かうのかを中長期的に調べるとともに、その繋がりを科学的に解明すべく取り組んでいます。また、この場を環境教育のフィールドに定め、子どもや市民に広く実態を知ってもらう取り組みを進めています。これらを通じて、干潟・湿地の重要性を世の中に発信しつづけ、原形復旧にとらわれない新たな国土保全・利用のあり方を提案し、実現させたいと考えています。

概要

研究分担金

10,000円
(宿泊費・夕朝食費、調査のための移動費を含む。交通費は別途自己負担)

募集人数

最少4人
最大7人
(定員になり次第締切)

調査地域

宮城県気仙沼市舞根湾

現地調査日

2016年
チーム1:5月14日(土)-15日(日)
チーム2:7月23日(土)-24日(日)
[1泊2日]

ボランティアの役割

現地は、多分野にわたる研究者が様々な調査を実施しているため、ボランティアは個別に魚類や水質などの調査に携わります。調査は、1地点あたり1時間程度行い、ボランティアは、体力に応じて休憩しながら調査に参加します。

水質調査
植物プランクトン及び動物プランクトンのネット調査を行うほか、機器を用いた塩分・水温・濁度・溶存酸素濃度などの計測、栄養塩を分析するための採水と底泥のサンプルを採ります。専門的な事項は研究者が行いますので、ボランティアは装置や機材の上げ下ろしやサンプルを容器に入れる作業などの補助を研究者の指導のもとに行います。

桁網調査
地引き網のような感じで小型の網を曳き、中に入った小魚やエビなどを採取します。 海域では作業船から網を降ろして曳航し、湿地では研究者が水中に入って直接曳きます。網の操作は研究者が行い、ボランティアは網の中に入っている魚などの分別作業を陸上もしくは船上で行います。

潜水調査
魚類の研究者と藻類の研究者がそれぞれ潜水観察を行います。(30~40分程度/地点) ボランティアは潜水研究者の作業補助を行います。潜水服のチャックの開け閉め、ボンベを背負う際の補助、浮上時のボンベやウエイトの回収など。 船上では、研究者が水中の様子を解説したり、潜水中には、操船者から現地の様子などを聞くことができます。

研究者・協働する方々の紹介

田中 克先生(たなか まさる)
京都大学名誉教授、舞根森里海研究所所長

ABOUT

調査研究グループの全体統括。専門は、森里海連環学。

横山 勝英先生(よこやま かつひで)
首都大学東京 都市基盤環境コース 准教授

ABOUT

水の物理的挙動に関する調査に従事。研究者事務局。専門は、環境水理学。

他の研究者の方々

夏池 真史先生 東京工業大学理工学研究科 博士研究員
貝毒プランクトンの調査に従事。専門は、海洋微生物学

吉永 郁生先生 鳥取環境大学環境学部 教授
海洋微生物の調査に従事。専門は、海洋分子微生物学

遠藤  光 先生 東北大学農学研究科 助教
潜水による海藻類の分布・生態調査に従事。専門は、水圏植物生態学

中山 耕至先生 京都大学農学研究科 助教
湿地・干潟・海岸における仔稚魚調査に従事。専門は、魚類分子生態学

益田 玲爾先生 京都大学フィールド科学教育研究センター 准教授
潜水による魚類生態調査に従事。専門は、水産学

福島 慶太郎先生 首都大学東京都市環境学部 特任助教
森林・渓流・河口域の栄養塩調査に従事。専門は、森林生態系生態学

注意事項

  • 当日の現地までの交通手段と現地到着時間は、調査開始10日前までに事務局にお知らせください。
  • 調査開始10日前で募集最少人数に満たない場合は、開催を中止することがありますので、ご了承ください。
  • 申し込みされた方には中止が決定され次第、ご案内いたします。
  • アースウォッチの国内調査プログラムはボランティア傷害保険に加入しています。
  • アースウォッチの調査プログラムはカーボンオフセットを行っています。