視点・実践の変化
岡本 真理
兵庫県
2012年バーネガット湾のキスイガメ調査に参加。色々なものを驚きと興味を持って見ることができた。
- 簡単にプロフィールを教えて下さい。
- 大学院終了後、継続して中・高一貫校にて養護教諭として勤務しています。2010年より2018年まで学校で環境担当に任命され、環境教育を推進し、有志の生徒からなる環境大使活動を指導してきました。
- プログラム参加によって環境教育への想いはどのように変化しましたか?
- 本校の環境教育を推進していく上で、不安に思っていたことや疑問点などを解決し、教職員全体へ環境への取り組みを伝える際の自身の礎を得ることが出来ました。
一番興味深く、印象に残ったのはライトハウスセンター周辺の森のフィールドワークでした。松の森・在来種の森・外来種の森・塩沼地の草原、等々小さな敷地の中に背景の違う森が何種類も存在することに驚きました。
同じ森を見ても、専門家の助言の前後では見えていた世界が一変します。毎朝ライトハウスセンターの周りを散歩していましたが、この講義を受けた後には、色々なものを驚きと興味を持ってみることができました。新たな着眼点が森の景観を一変させ、森の違いが浮き彫りなったことで、常に指導者が身近にいる状況でなくとも活動を能動的に行えるようになったのです。これこそが生徒に体験して欲しい事項であり、本校の環境活動に支えるべき素因の一つであると感じました。 - なにか周囲に及ぼした事柄があれば教えてください。
- 本校の環境大使活動を通じ、環境に興味を持ち、進路決定した生徒や環境大使活動から、聞き書き甲子園に参加し、今はそのイベントの開催メンバーの一員となり、後輩を指導する立場になった生徒がいます。
- 子ども達の驚きや感動はどのようなものがありましたか?子ども達の変化、同僚や保護者の変化で気づいたことは?
- 研修に参加し、最も強く感じた「私にとっての本研修の意味」とは、今まで環境教育活動の一端を担う中で、なにとはなしに「こうではないか?」と感じていた事柄の確信への変化です。特に「学びと体験によって着眼点が変化した体験」を生徒にもぜひ体感してほしいと思い、環境活動を実施してきました。
それまで、校内委員会では「単発的なお楽しみで終わりやすい」、「学びに工夫が必要」、「縦のつながりが薄い」という厳しい指摘も受けており、担当として生徒のやる気に見合った内容にするために、準備できる余地がまだあるのではという忸怩たる思いがあり、体験活動の「学び」の側面を重視した組織的な動かし方を学習したいと常々考えていました。このプログラムに参加して、今熱心に取り組んでいる生徒達がより素晴らしいものを手にすることができるためのヒントを得ることができ、生徒に新しい着眼点を与えたいという目的をもった活動が実施できたと思います。環境活動の目的がはっきりとしたことで、私自身ぶれることが少なくなり、先生方へ環境教育の説明をすることがしやすくなりました。また、生徒達の興味を強くひくイベント的な活動にも意味があることを実感したことで、幅広く参加者をつのることもできるようになりました。 - 本プログラムの成果やインパクトについて伝えたいことがありますか?
- ボランティアの学生、参加者の方々など、仲間の存在なしには、これほど楽しく充実した時間を持つことはできなかったと思います。同じ志や興味を共有する集団としての活動は素晴らしいものでした。一人ではできないことも仲間とのつながりで成し得ることができ、発見を伝えあうなど感動を分かち合う喜びも得られました。カメを捕獲したりトラップを仕掛けたりする作業は、キラキラ光る水面、信じられないくらい広大な景色の中で、とても楽しい作業でした。
本校の環境教育の学校目標は「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ですが、この目標の根底にあるものは、協力することの重要性への気づきや、周りの人々への感謝こそが周りの環境への感謝と畏敬の念に通じる全ての礎であるという考えの現れです。今後も生徒の「仲間作り」の場を提供していきたいと思います。